「まいどおおきに!」(第六話)
山鉾の「固有名詞」説明の続きです。中国の故事を題材にしていますが「孟宗(もうそう)山」と「郭巨(かっきょ)山」は特に親への「孝養・孝行」の大切さを説いた倫理系とも云うべきテーマになっています。病身の母を養う孟宗が雪中に筍(たけのこ)を掘りあてた故事、郭巨が母を養う為にわが子を埋めようと決意して土を掘り起こした所、土中から黄金の釜が現れ、そのお陰で孝養を尽くすことが出来た話など。昔の町衆の「親孝行」への強い想いが祇園祭を通じて伝わってくると思いませんか!、とは少し説教臭さがすぎますかナ。
当時の「教養科目」のひとつ・謡曲をテーマとした山は「木賊(とくさ)山」と「芦刈山」の二つです。町衆の高い文化レベルを表している例です。珍しい形をした山鉾を二つ。「船鉾」。神功皇后の勇壮な船出を表す「船」を象ってます。「蟷螂(別称:かまきり)山」は車に同調して「かまきり」が動く唯一のカラクリ人形の山です。
山鉾の巡行順番は毎年変ります。「くじ」を引いて順番を決めますが先頭としんがり(最後尾)だけは「不動」です。特に、先頭は「くじ引かず」の「長刀鉾」ですが唯一、お稚児さんが乗り込んでます。鉾頭の「長刀」は怨霊を鎮め、邪気・疫神を祓う祇園祭の象徴と考えても良いでしょう。
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祇園祭・山鉾の最大の魅力のひとつは、鉾の「細工」に加えての山鉾を飾る豪華な「前掛け・胴掛け・見送り・水引き」などです。これらの「飾り」のほとんどは山鉾のテーマと直接、関係はありません。例えば、「鯉山」と「鶏(にわとり)鉾」の胴掛けは16C・ベルギー製タペストリーで、図柄はギリシャ神話の「イリアス」を題材に採ってます。いずれも「重要文化財」です。函谷鉾の胴掛けも同じくベルギー製ですがデザインは「旧約聖書」の一場面を描いています。無論「重文」です。いずれも数百年前にヨーロッパからの「輸入品」であり、当時の室町商人の国際的なつながりと「経済力」の凄さを象徴していると言えましょう。「山伏山」の水引きは大変珍しいデザインです。「機織図」と云い、絹織物の「養蚕から織物」までの全生産工程を刺繍で描いてます。中国からの古渡りの逸品ですが、繊維の街・室町にふさわしい図柄であり、鉾町の誇りでもあります。祇園祭の説明はいくら紙数があっても足りません。兎も角、「一見に如かず!」です。是非、一度「おいでやす!」。一度来られた人は二度でも三度でも「おいでやす!」。
祇園祭のお話は今回でひとまず終わりとします。
次回は、雨が降っても、槍が降っても、毎月一回、絶対に中止のない「天神さん」と「弘法さん」の縁日についてお話しする予定です。
それでは、みなさん今回はこれにて
「まいどおおきに!」

