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2005年11月23日

モノより、オモイデ。

私には、大切な大切な帯がある。
その帯には、忘れられない思い出がぎゅっと詰まっている。

約二ヶ月前のある日の事。
動物が苦手なうちの主人が、思いがけない『動物』を拾ってきた。
ちゅん・・・。
ニコニコ顔の彼は、大きな手の中に居る、その小さな『動物』を差し出した。
元気のない、足の折れた、赤ちゃん雀だった。きっと、巣から落ちて、親雀からはぐれたに違いない。
一瞬、もう駄目な気がして可哀相で、“どうするの?”と聞いた。
彼は、少年みたいに、力強く、優しく言った。
“元気にしてあげたい”

その日から、赤ちゃん雀と私達夫婦の共同生活が始まった。
インターネットで雛鳥の育て方を調べ、一日中、温度や食事に気を使った。
数日間は、朝起きて雀を見るのが怖かった。私は、その小さな命を何故だかとても愛しく感じていた。

奇跡的に、雀は元気になった。

私達はその雀を『ちゅん吉』と名付けた。
ちゅん吉は、雀じゃないみたいに人の手が好きだった。
手乗りインコならぬ、手乗り雀。しかも、手の中で、寝てしまう。
動物が大好きな私は、もう、ちゅん吉の事で頭が一杯になった。
朝起きた瞬間から、夜寝る直前まで、ちゅん吉と一緒だった。
ちゅん吉は、私の体の隙間に挟まって、幸せそうに体全部をくっつけた。
すずめ横顔.jpgすずめ横向き.jpg

数週間後、ちゅん吉は憧れていた外の世界に、飛び立った。
毎日部屋の中から見ていた、果てしなく広い空へ・・・。

ぜんまいの生地に、元気な雀が描かれた名古屋帯を結ぶと、
ちゅん吉がいつまでも私にくっついてきているような気がします。
小さい体で一生懸命生きているその姿を思うと、
私だってもっと頑張れると、思うのです。

着物は、名前じゃないよ、美子さん。
そのモノより、ホットなオモイデ、じゃない?すずめ帯.jpg

投稿者 とみひろサポート室 : 2005年11月23日 01:26

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